Range: Why Generalists Triumph in a Specialized World

Positiviteaのひなこさん後半の回から。司会者の1人の旦那さん(金融->弁護士->コンサルタント)がお勧めしてた。yancan.fmでも紹介されてたのでNYPLでebook予約した。4月に本を借りられた。

昨今は複雑で明確な答えがでないような問いが世の中に溢れている。このような場合では専門知識を持ちつつ幅広く知見を広げて、同じ構造を持つ問題を見たときに解決方法が浮かぶような思考の柔軟さを持てるようになれるとイノベーションを起こせる。

初めは子育てに役立つものかと思って読み始めたが、後半では大成していない自分の生き方を肯定してくれる本になった。

The cover of Range

Range

Introduction Roger vs. Tiger

タイガーウッズは小さい頃からずっとゴルフばかりやっていた。一方でロジャーフェデラーは色んなスポーツを経験してから自分が進む道を決めた。小さい頃(子供-16歳ぐらいまで)から一つのことをずっとやらせる、打ち込むのりも、"Sample" periodは色んな事を体験させる時期を持たせるのがいい。

1 The Cult of Head Start

早くに始めることは良いことだと思われているが、それはチェスやゴルフのようなシンプルで同じパターンを繰り返すものの場合に限られる。世の中はもっと複雑だ。

2 How the Wicked World is Made

医者の世界でも「金槌を持つと全てが釘に見える」問題があった。心臓外科医の大きな会議がある期間は患者の生存率が大きい。とある危険な手術をやり過ぎているという事だった。

昔の人より今の人の方がIQテストの成績がいい。辺境で暮らす人達は近代国家で暮らす人認識が、目の錯覚レベルですら異なる。優れた学者でも分野を超えた知識を得る人は稀である。

Tiger Mother (Amy Chua; 娘はSophiaとLulu)は小さい頃から一つの楽器(ピアノかバイオリン)を続けるべきと説く。

17世紀のVeniceで音楽がとても発展したその時にとある施設figlie del coroで子供に音楽を教える方法は様々な楽器を触れさせる方法だった。経験を積んでいる人はそのいっぽ手前の人を教えてそのいっぽ手前の人はまたその後の人を教えると言う役割を持っていた。

4 Learning, Fast and Slow

Generation effect. 間違っても良いから回答を出してから答え合わせをすると、答えを覚えるのとでは前者の方が良い効果がある。自信たっぷりで間違えると更に良い。一方で手続きだと思って覚えてしまうとテストの勉強としては効率が良いかもしれないが本質が身につかない。

何かを学ぶ時に間隔を空けて学ぶと良い。とあるスペイン語の学習において、同日にテストをやる群と1ヶ月後にやる群を8年後に比べると後者が良い成績を残した。

早期教育(closed skill、目の前のテストのために簡単に素早く覚えるもの)は他の子に追いつかれてしまう。赤ちゃんに早くから歩く方法を教えてもいつかは皆歩けるのと同じ。大切なのはゆっくりと複雑なことを学ぶこと(open skill, deep learning)。Learning to recognize deep structural commonalities in types of problems. “Far transfer”というのは新しい問題に適用できるような知識が柔軟であること。

5 Thinking outside Experience

16世紀にKeplerは天体の動きを説明するためのさまざまなアナロジーを使った。Dedre Gentnerはアナロジー研究者。

健康な組織を痛めずに腫瘍を殺す方法を考える際に、1つの砦を複数に分けた部隊で同時に攻める作戦や、火事に水を同時にかける話を聞いて思いつけると良い。

Inside view. Daniel KahnemanとAmos Tversky曰く内部事情を知っている程予想が外れてしまう事がある。エキスパートがプロジェクトの終了が2年と予想したら実際は8年掛かった。「自分のプロジェクトは大丈夫」という考え。Dan Lovalloの実験ではreturn on investmentを幾つかのプロジェクトで予想して、private equity firmの人に見て貰ったら自分達のプロジェクトを似た構造のプロジェクトよりもRoIを高く見積もっていた事がわかった。Northwestern universityにはintegrated science programという分野をまたがった領域にアナロジーがあることを探し出す専攻がある。

6 The Trouble with Too much Grit

アメリカの軍隊で我慢してずっと働くというのは人気が減ってきている。数年続けるという約束で現金を上げる策をやったがこれも失敗。キャリアや働く場所のマッチングを向上したら辞める人が減った。
自分に合うものを見つけるまで幾つか試してみるという作戦が良い。ただし「長期的視点を持っていない」と見られる。

7 Flirting with Your Possible Selves

Strength-finderをやるよりも実際に自分をその場に置いて実験してみた方が自分に合っているかどうかわかる。

Instead of working back from a goal, work forward from promising situations. This is what most successful people actually do anyway.

http://www.paulgraham.com/hs.html

今は有名な作家達(Game of Thrones, The Perfect Storm)も書く前は色んな職業に就いていた。

A person don’t know what he can do unless he tryes. Trying things is the answer to find your talent.

8 The Outsider Advantage

Eli Lillyという化学の会社が、会社が解きたい難しい問題をウェブサイトに掲載したらその分野の特許を扱う弁護士など色んな人からアイデアを貰えた。

InnoCentiveという会社を作った。外部からアイデアを見つけ出して報酬を払う仕組みを作る会社。

アラスカの原油流出事故で約20年後にも海に有る油を取り除くアイデアをOil Spill Recovery InstituteがInnoCentiveで募集したら答えが見つかった。コンクリートに振動を与える装置が水と混ざった油にも役に立った。

9 Lateral Thinking of Withered Technology

Lateral: 横方向の. Lateral thinking: 自由な思考.
電車の中で電卓で遊んでいる人を見て任天堂の横井はGame & Watchを作るきっかけになった。当時LCDスクリーンは枯れた技術だがゲームを作っている人はいなかった。これは後のゲームボーイになる。
3MのOuderkirkらが特許を調べるとT型の発明家(polymath)がインパクトのある発明をしていた。スペシャリストよりは1つの分野が浅いが、色んな分野(USPTOには約450の分野がある)に特許がある人が強い。Ouderkirk曰く

if you are working on well-defined and well-understood problems, specialists work very very well. As ambiguity and uncertainty increases , which is the norm with system problems, breadth becomes increasingly important.


10 Fooled By Expertise

内部の知識を持っているせいで予測が外れることが多い。正しい予測をする人は抱えている問題と似た構造を持つものを探してくると良い。例えばギリシャEUを離脱する問題点でも、確かに家を離脱した国は今までなかったか国際協定を離脱したり通貨を強制的に変換するといった過去の事例はあった。

11 Learning to Drop Your Familiar Tools

NBAのクラスでやるCarter Racingというケーススタディ。エンジンが壊れるかも知れないがレースするかしないか。足りないデータは何かを聞くべき。
Challengerの打ち上げ失敗ではNASAとThiokol社の会議でThiokolがO ringに問題があるという話がでたが、Thiokol社のエンジニアが十分なデータを提供出来なかったから打ち上げにGoサインが出されてしまった。NASAのデータ主義のせいで失敗してしまった。
山火事での消防隊の活動も道具を置いて逃げられないので火に巻き込まれてしまう事がある。使い慣れた道具はその人の役割の象徴でもある。いざという時、普段と違う場面なのに使い慣れた物を手放せずに致命的な間違いを犯してしまう。

Conclusion: Expanding Your Range

Don't feel behind.

自分では無い誰かが何か凄いことをしているとしても自分は遅れをとっていると感じる必要は無い。昨日の自分と今日の自分を比べて少しずつ進歩していけばよいのである。